
台湾は、日本酒にとって重要な輸出市場の一つです。
国税庁の統計によると、2025年の台湾向け清酒輸出額は約27億円、輸出数量は3,035キロリットル。輸出額では世界第5位となりました。さらに2026年1~4月は、数量が前年同期並みで推移する一方、輸出額は約10.5%増加しています。
台湾市場では単純な数量拡大だけでなく、付加価値の高い商品が選ばれる傾向が強まっていると考えられます。
過去記事:台湾における日本酒の趨勢(2021)
台湾向け日本酒輸出の最新動向
| 指標 | 実績 | 前年比・位置付け |
|---|---|---|
| 2025年の清酒輸出額 | 約27.0億円 | 前年比1.1%増、世界第5位 |
| 2025年の清酒輸出数量 | 3,035kl | 世界輸出額の5.9% |
| 2026年1~4月の清酒輸出額 | 9.15億円 | 単純計算で前年同期比約10.5%増 |
| 2026年1~4月の輸出数量 | 953kl | 前年同期比ほぼ横ばい |
| 2025年の日本産酒類全体 | 約174.1億円 | 前年比9.2%増 |
出典:国税庁「最近の清酒輸出動向」、日本酒造組合中央会「2026年1~4月清酒輸出実績」、農林水産省「2025年農林水産物・食品の輸出実績」
2026年1~4月の実績を前年同期と比較すると、数量はほぼ変わらない一方、1リットル当たりの輸出額は単純計算で約11%上昇しています。為替や商品構成の影響を受けるため断定はできませんが、台湾市場で高単価商品の比重が高まっている可能性があります。
日本産が強い一方、ブランド間競争は激しい
日台交流協会の調査によると、2022~2024年に台湾が輸入した日本酒の数量ベースで、日本産の構成比は97.2%でした。台湾の輸入日本酒市場では、日本産が事実上の中心です。
ただし、これは参入すれば売れるという意味ではありません。多くの日本酒ブランドと輸入代理店が存在するため、実際の競争は日本酒同士で起きています。
また、台湾の酒類市場全体ではウイスキー、ワイン、ビールの輸入規模が大きく、日本酒はプレミアム性や日本食との相性を生かす比較的小規模なカテゴリーです。日台交流協会「台湾のアルコール飲料市場に関する調査レポート」
台湾で注目したい4つの消費傾向
1.料理とのペアリングが選択理由になる
台湾では、お酒を料理と一緒に楽しむ機会が多く、日本酒も「どの料理に合うか」が重要です。
日本料理だけでなく、海鮮料理、火鍋、鶏料理、蒸し料理など、台湾で日常的に食べられる料理との組み合わせを提案すると、消費者が飲用場面を想像しやすくなります。
2.限定品とストーリー性が関心を集めやすい
季節限定品、台湾限定ラベル、飲食店とのコラボレーションなどは、消費者の好奇心を刺激します。
一方、知名度だけで長期間選ばれ続けるとは限りません。酒蔵の歴史、原料、地域、製法、受賞歴などを繁体字中国語で分かりやすく伝えることが、ブランド形成につながります。
3.若年層では飲みやすさと見た目も重要
若年層や日本酒初心者に対しては、比較的低アルコールで甘味や果実感のあるタイプ、スパークリングタイプ、写真やSNSで紹介しやすいパッケージなどが入口になります。
ただし、台湾市場全体を「低アルコール志向」と一括りにするのは適切ではありません。会食や贈答では、高級感のある純米大吟醸や限定酒も選ばれています。
4.試飲体験が購入を後押しする
日本酒は、商品名やラベルだけでは味を判断しにくい商品です。百貨店、飲食店、日本食品イベントなどでの試飲会は、新しい銘柄を知ってもらう有効な手段になります。
台湾進出で考えたい商品・販売戦略
| 想定顧客・場面 | 商品の方向性 | 有効な訴求 |
|---|---|---|
| 日本酒初心者・若年層 | 軽快、甘口、低アルコール、スパークリング | 低価格、飲みやすさ、冷酒、SNS映え |
| 飲食店 | 食中酒、純米酒、吟醸酒 | 台湾料理とのペアリング |
| 会食・贈答 | 純米大吟醸、限定品、受賞酒 | 高級感、贈答品、酒蔵の歴史、希少性 |
| 日本文化ファン | 地域性のある銘柄 | 産地、米、水、製法、観光との連動 |
台湾では並行輸入品が流通する場合もあります。価格崩れや品質管理上の問題を避けるため、正規代理店の設定、ロット管理、販売地域やチャネルの整理も重要です。
台湾へ日本酒を輸出する際の主な規制
台湾向け日本酒輸出では、次のような手続き・コストを確認する必要があります。
- 日本側では、輸出酒類卸売業免許など対象となる酒類販売業免許を確認する
- 台湾側では、酒類輸入業許可を持つ輸入者が輸入する
- 原産地証明書、輸入検査申請書、成分・品質関係資料などを準備する
- 繁体字中国語で商品名、酒類区分、アルコール度数、容量、原産地、輸入者情報、ロット番号などを表示する
- 「飲酒過量,有害健康」などの警告表示を行う
- 清酒には原則20%の関税がかかる
- 酒税は「1リットル当たりNT$7×アルコール度数」で計算する
- CIF価格、関税、酒税などを基礎として5%の営業税が課される
- 台湾では酒類の通信販売・EC販売が禁止されている
例えば、アルコール度数15度、720mlの日本酒では、酒税は「7×15×0.72」でNT$75.6です。ここに関税、営業税、物流費、検査費、輸入者・販売店のマージンが加わるため、日本国内価格から単純換算した価格設定はできません。
詳しい現行制度は、輸出前にジェトロ「アルコール飲料の輸入規制、輸入手続き(台湾)」と台湾側輸入者の双方で確認する必要があります。
放射性物質規制に関する最新情報
台湾は2025年11月21日、日本産食品に対する東日本大震災関連の輸入規制を撤廃しました。福島県など5県の食品に求めていた放射性物質検査報告書と、日本産食品全般の産地証明書が不要になっています。
なお、従来の食品規制でも酒類は対象外でした。一方、日本酒については、食品の放射性物質規制とは別に、台湾の酒類関連法令に基づく原産地証明書が引き続き必要です。ジェトロ「台湾、日本産食品の輸入規制撤廃を公表」
まとめ
台湾向け日本酒輸出は2025年も増加し、2026年初頭には輸出単価の上昇も見られました。ただし、日本産酒同士の競争が激しく、商品を輸出するだけでは継続販売につながりにくい市場です。
台湾料理とのペアリング、試飲機会、繁体字中国語によるストーリー発信、正規流通の管理を組み合わせることが、ブランドを定着させるポイントになります。
※本記事は2026年9月時点の公開情報を基に作成しています。実際の輸出時には、商品の成分、アルコール度数、容器、輸入者の登録状況などに応じて最新制度をご確認ください。
Shipeeeでは輸出入支援から台湾進出支援コンサルティング、物流支援、現地プロモーション等幅広くご支援しております。 ご質問等ございましたらご遠慮なくお問い合わせください。

