
台湾へ食品や飲料を輸出・販売する際には、台湾の法令に適合した繁体字中国語の「中文ラベル」が必要です。
日本で販売している商品の日本語ラベルをそのまま使用することはできません。商品名や原材料を中国語へ翻訳するだけでなく、原材料の配合順、食品添加物、栄養成分、アレルゲン、台湾国内責任業者、日本での製造地などを、台湾の基準に合わせて表示する必要があります。
本記事では、台湾衛生福利部食品薬物管理署(TFDA)が2026年2月に公表した最新の食品表示関連資料などをもとに、日本の食品メーカーが注意すべきポイントを解説します。
※本記事は2026年9月時点の情報に基づいています。商品カテゴリーや原材料によって追加規制が適用される場合があります。
台湾の食品中文ラベルとは
台湾の「食品安全衛生管理法」第22条では、包装食品および食品原料の容器・外包装について、規定された情報を中国語および一般的な記号で明確に表示することを求めています。
ここでいう中国語は、原則として台湾で使用される「繁体字中国語」です。
日本語、英語などを併記することは可能ですが、中国語表示と外国語表示の内容が矛盾し、消費者に誤認を与える状態は認められません。
また、中文ラベルは簡単に剝がれたり、別の商品へ貼り替えられたりしない方法で表示する必要があります。紐で付けるタグ、商品から離れた説明書、箱の中に入れただけの案内資料では、包装上の表示として認められない可能性があります。
包装食品に必要な10項目
台湾で販売する一般的な包装食品には、原則として次の10項目を表示します。
| 項目 | 中文ラベルの表示例 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 1. 商品名 | 品名:抹茶餅乾 | 商品の実態を正確に表す名称にする |
| 2. 原材料名 | 成分:小麥粉、砂糖、奶油… | 原則として配合量の多い順に記載 |
| 3. 内容量 | 淨重:100公克 | 重量、容量または数量を明記 |
| 4. 食品添加物 | 食品添加物:膨脹劑(碳酸氫鈉) | 用途名だけでなく添加物の正式名称を確認 |
| 5. 製造業者または台湾国内責任業者 | 國內負責廠商:○○有限公司 | 台湾側事業者の名称、住所、電話番号を表示 |
| 6. 原産地 | 原產地:日本(大阪府) | 日本産食品は都道府県情報まで管理することが重要 |
| 7. 賞味期限 | 有效日期:標示於包裝上 | 年月日の判別ができる形式にする |
| 8. 栄養表示 | 營養標示 | 台湾指定の項目・形式・単位で表示 |
| 9. 遺伝子組換え原料 | 基因改造食品原料 | 対象原料を使用する場合に表示 |
| 10. その他の指定表示 | 過敏原、咖啡因、保存條件等 | 商品カテゴリー別の公告を確認 |
基本となる10項目自体は、2022年に公開した過去記事から大きく変わっていません。
一方、2026年時点では、アレルゲン、栄養強調表示、小包装、健康食品、日本産食品の輸入管理などを含めて確認する必要があります。
1.食品添加物は台湾での使用可否を輸出前に確認する
日本で使用可能な食品添加物が、台湾でも同じ条件で使用できるとは限りません。
次の点を商品ごとに確認する必要があります。
-
台湾で使用が認められている添加物か
-
当該食品カテゴリーで使用できるか
-
使用量の上限が設定されていないか
-
台湾での正式な中国語名称は何か
-
用途名だけでなく、個別名称の表示が必要か
例えば「乳化剤」「甘味料」「保存料」といった用途名だけでは不十分となり、実際に使用した添加物の個別名称を併記する必要があります。
中文ラベルを完成させてから添加物の使用可否を確認すると、商品自体が台湾へ輸入できないことが判明する可能性があります。そのため、ラベル作成より前に、原材料と添加物の適法性を確認することが重要です。
SGS台湾の解説でも、各国で使用可能な原料・添加物が異なるため、輸入前の原材料確認が推奨されています。
2.台湾国内責任業者の情報が必要
輸入食品の場合、通常は台湾側の輸入者または販売責任者が「國內負責廠商」となります。
中文ラベルには、原則として次の情報を表示します。
-
台湾国内責任業者の正式名称
-
台湾国内の住所
-
台湾で連絡可能な電話番号
日本メーカーの名称・住所だけを記載しても、台湾国内責任業者の表示にはなりません。
台湾で輸入者となる事業者は、会社登記だけでなく、食品業者登録や輸入関連の手続きが必要になる場合があります。中文ラベルを作成する前に、誰を輸入者および台湾国内責任業者とするかを確定しておく必要があります。
3.日本産食品は「日本」だけでなく都道府県情報にも注意
日本の食品メーカーが特に注意すべき項目が原産地表示です。
食品安全衛生管理法上の基本的な義務は「原産国または地域」の表示であるため、一般的には次のように表示します。
原產地:日本
ただし、SGS台湾の食品表示案内では、日本から輸入する包装食品・バラ売り食品について、中文で都道府県まで表示することが案内されています。
実務上は、次のように表示する方法が安全です。
原產地:日本(大阪府)
原產地:日本(北海道)
原產地:日本(福岡縣)
原産地は「最終加工地」を基準に考える
日本の食品メーカーにとっては、原産地を「商品の製造工程において、実質的な変更が最後に行われた場所=最終加工地」と考えると分かりやすいでしょう。
例えば、東京に本社があるメーカーの商品を大阪府の工場で最終加工している場合、本社所在地を根拠に「東京都」と表示するのではなく、原則として最終加工地である大阪府を基準に確認します。
一方、単純な袋詰め、箱詰め、ラベル貼付などを行った場所が、必ずしも原産地になるとは限りません。どの工程が商品に実質的な変更を与えたかを確認する必要があります。
また、次の情報はそれぞれ意味が異なります。
| 情報 | 例 |
|---|---|
| 製品の原産地・最終加工地 | 日本・大阪府 |
| 原材料の産地 | 北海道産小麦、鹿児島県産茶葉 |
| メーカー本社所在地 | 東京都 |
| 最終包装地 | 兵庫県 |
「北海道産小麦使用」など、日本国内の特定産地を強調する場合は、その原料が実際に当該産地のものであることを証明できる資料を用意し、製品自体の原産地と混同させない表示にする必要があります。
日本食品の輸入管理も変更
台湾は2025年11月21日、日本食品について一律に産地証明書の提出を求めていた特別措置などを廃止し、他国の輸入食品と同様のリスクベース管理へ移行しました。
ただし、中文ラベル上の原産地表示が不要になったわけではありません。製造所情報、原材料産地、ロットごとのトレーサビリティ資料は、引き続き管理しておく必要があります。
4.台湾の栄養表示は日本と形式が異なる
台湾で販売する包装食品には、原則として台湾方式の栄養表示が必要です。
一般的な表示項目は次のとおりです。
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1包装当たりの内容
-
1回分の量
-
1包装に含まれる回数
-
熱量
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たんぱく質
-
脂質
-
飽和脂肪
-
トランス脂肪
-
炭水化物
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糖類
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ナトリウム
-
その他、商品上で栄養強調する成分
台湾では、1回分当たりに加え、100gまたは100ml当たりの数値や、1日当たりの摂取基準値に対する割合などを、指定形式で表示する必要があります。
日本の栄養成分表示を繁体字へ翻訳するだけでは、項目、単位、計算方法、丸め処理が台湾基準に適合しない場合があります。
特に飲料では、日本で「食塩相当量」と表示している数値をそのまま台湾の「鈉(ナトリウム)」へ転記することはできません。ナトリウム量への換算が必要です。
2026年から栄養強調表示の一部規定が施行
台湾では2024年2月に「包装食品栄養表示強調に関する遵守事項」が改正され、その一部が2026年1月1日から施行されています。
「高カルシウム」「低糖」「無糖」「低脂肪」「ビタミンC配合」などの表示を行う商品は、2026年基準への適合確認が必要です。TFDAの改正公告では、一部規定について2026年1月1日からの施行が明記されています。
日本で使用している「糖質オフ」「ゼロ」「たっぷり」「豊富」などの表現を、そのまま中国語へ翻訳して使用できるとは限りません。
5.アレルゲン表示は原材料欄とは別に確認する
台湾では、対象となるアレルゲンを含む食品について、消費者が明確に認識できる注意表示が必要です。
主な対象には、次のような原材料があります。
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甲殻類
-
マンゴー
-
落花生
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ごま
-
牛乳・乳製品
-
山羊乳
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卵
-
ナッツ類
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グルテンを含む穀物
-
大豆
-
魚類
-
一定量以上の亜硫酸塩
表示例は次のとおりです。
本產品含有牛奶、小麥、大豆及芝麻,不適合對其過敏體質者食用。
日本と台湾では、対象となるアレルゲンの範囲や分類が異なります。日本の「特定原材料等」の表示をそのまま転用するのではなく、台湾基準で再確認する必要があります。
同一工場・同一製造ラインでアレルゲンを含む別の商品を製造している場合は、コンタミネーションに関する注意表示も検討します。
6.賞味期限は台湾の消費者が明確に判別できる形式にする
中文ラベルでは「有效日期」として、賞味期限または消費期限を明確に表示します。
表示例:
有效日期:2027年12月31日
有效日期:標示於包裝上(西元年/月/日)
「26.12.01」のような表示は、年・月・日の順序が不明確になる可能性があります。西暦であることや表示順を明示するのが安全です。
7.小包装食品は一部表示を簡略化できる
最大表面積が20平方センチメートル未満の小包装食品については、一定の条件を満たす場合、一部の表示を簡略化できます。
商品名、賞味期限、台湾国内責任業者、原産地、アレルゲンなどの必要事項を包装上に表示する方法のほか、一部の情報をQRコードなどで開示することも可能です。
ただし、商品名と賞味期限は包装上への表示が必要です。また、QRコードを使用する場合は、正常に読み取ることができ、必要な表示情報を確認できる状態にしておかなければなりません。
8.中文ラベルはいつまでに貼る必要があるか
中文ラベルを貼付する時期は、台湾で一般消費者向けに販売するB2C商品と、業務用として輸入するB2B商品で考え方が異なります。
B2Cの一般消費者向け商品
輸入後に、そのまま小売店やECサイトなどで一般消費者へ販売する完成包装食品は、原則として輸入前に中文ラベルを完成させる必要があります。
日本で中文ラベルを貼付してから輸出する方法が一般的ですが、台湾到着後に保税地域などでラベルを貼付できる場合もあるため、実際の運用は輸入者や通関業者への事前確認が必要です。
B2Bの業務用商品・食品原料
B2B向けであっても、完成した包装状態のまま食品工場、飲食店、販売業者などへ引き渡す商品は、原則として食品安全衛生管理法第22条に基づく中文表示が必要です。
「業務用だから中文ラベルが不要」ということではありません。
一方、台湾への輸入後に、改装、小分け、再包装またはその他の加工を行う食品・食品原料については、輸入時点では商品を識別できる原文ラベルなどを付け、台湾国内での販売または引き渡し前までに中文表示を完成させることが認められる場合があります。
| 商品の状態・用途 | 中文ラベルの時期 |
|---|---|
| 輸入後、そのまま一般消費者へ販売するB2C商品 | 原則として輸入前に表示 |
| 完成包装のまま食品工場や飲食店へ販売するB2B商品 | 原則として販売・引き渡し前に必要 |
| 台湾で小分け・再包装・改装する業務用商品 | 条件を満たせば台湾での販売・引き渡し前までに表示可能 |
| 台湾で追加加工する食品原料 | 原文表示や識別情報を付け、加工・販売形態に応じて個別確認 |
なお、B2B向けの食品・食品原料であっても、包装形態、用途、輸入後の加工内容、販売先によって取扱いが異なります。輸出前に台湾側の輸入者および通関業者へ確認することが重要です。
9.ラベル作成前に日本メーカーが準備すべき資料
中文ラベルの作成には、最低限、次の資料が必要です。
| 必要資料 | 確認する内容 |
|---|---|
| 商品規格書 | 商品名、内容量、保存方法、賞味期限 |
| 全原材料配合表 | 配合順、複合原材料、添加物 |
| 添加物一覧 | 正式名称、用途、使用量 |
| 栄養成分分析表 | 台湾方式への換算・表示 |
| アレルゲン情報 | 原材料由来・製造ライン由来 |
| 製造所情報 | 最終加工地、製造所住所、製造工程 |
| 原料産地資料 | 「北海道産」などを強調する場合 |
| 包装データ | ラベル面積、貼付位置、既存外国語表示 |
| 賞味期限資料 | 日付形式、保存試験、保管条件 |
| 台湾輸入者情報 | 会社名、住所、電話番号、登録情報 |
原材料名や添加物名が「一括表示」「社外秘」になっている場合、台湾側で適法性を判断できません。輸入者または確認機関に対して、必要な範囲で詳細配合を開示する必要があります。
まとめ
台湾向け食品中文ラベルでは、次の5点が特に重要です。
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日本語ラベルを翻訳するだけではなく、台湾の表示形式で作成する
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原材料と食品添加物が台湾で使用可能か、ラベル作成前に確認する
-
日本産食品は製品の原産地・最終加工地・原料産地を区別し、都道府県情報まで管理する
-
栄養表示、アレルゲン、栄養強調表示を台湾基準で再確認する
-
台湾側の輸入者・国内責任業者を確定してからラベルを完成させる
2025年11月に日本食品の一律の産地証明書提出義務などは廃止されましたが、中文ラベルの原産地表示や、メーカー・輸入者によるトレーサビリティ管理は引き続き必要です。
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参考資料
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