
結論: 海外での在庫リスクを抱えずに、確実に売れる数量だけを生産・出荷する——その現実解が、台湾で急伸する予約販売(=クラウドファンディング)です。
山梨県発の印章プロダクト『未来印』は、台湾の予約販売サイトMyfeelで好調に推移しており、執筆時点で累計2,600,000台湾元超の支援・予約を集めています(案件は募集中のため、今後さらに伸びる可能性があります)。
案件ページ:https://www.myfeel-tw.com/projects/mirain
なぜ「予約販売」なのか?・・・一言でいえば、在庫リスクのない海外進出
クラウドファンディングと聞くと“資金調達”の印象が強いですが、**実態は「決済確定済みの予約販売サイト」**です。
■販売の流れ(例)
- 10月〜11月末:予約販売で決済確定の注文のみを集める
- 12月:集計数量だけを一括生産・一括出荷
■従来モデルとの違い
- 従来:まず1,000個を台湾に在庫→実売600個→400個の在庫を抱えるリスク
- 予約販売:売れた分だけを生産・出荷→在庫ロスゼロ
実例:『未来印』——伝統×精密加工を“物語”ごと届ける
『未来印』は、日本の印章文化と半導体級の精密加工を掛け合わせた無縫(シームレス)構造が特徴のプロダクト。山梨発の伝統工芸×先端技術という“語れる価値”が、台湾の消費者にしっかり届いています。プロジェクトはMyfeel上で進行中です(プロジェクトオーナー表記あり/期間は上記の通り)。
県・自治体が支援すべき理由(3点)
- 在庫ロスの公金負担を回避:補助金で先行在庫を積む必要がなく、予約=確定需要に対してだけ支援。
- “越境の初期検証”に最適:需要検証(PMF)と販路開拓を同時に実現。失敗の学習コストを最小化。
- 地域ストーリーの発信装置:産地の歴史・職人技・SDGs等の編集情報が購買動機になりやすい(広告費対比の効率が高い)。
県産品に最適化する運用設計(仮案)
① 募集期間の設計(例:60日)
- 前半:PRタイアップ/インフルエンサー露出
- 中盤:県公式アカウント・商工団体経由での再想起
- 終盤:限定特典(刻印/名入れ・先着色・県章コラボ外装 など)
② プラン編成
- 早割(数量限定)/標準セット/地域限定仕様(県産素材・県章意匠)/ギフトセット
③ サービス・オペレーション
- 受注確定→一括生産→一括出荷(例:12月一括発送)
- 事前に輸出入・表示要件をチェック(成分表示・原産地表記・電気用品規格 等)
④ クリエイティブ
- 3つの核:“使い道”の明確化/“製造背景(誰が作るか)”/“地域性(なぜこの県か)”
- 写真は用途→細部→世界観の順で提示(比較・ズーム・手触り)
県・自治体の“バックアップメニュー”提案
- 制作費補助:撮影・翻訳・ランディングページ制作・字幕編集
- 広告費補助:台湾向けSNS/検索広告、PR記事、KOL(インフルエンサー)露出
- 物流費補助:初回一括出荷の送料部分の一部補助
- 販促連携:県の台湾拠点・交流団体・現地量販/百貨ポップアップ連動
- 知財・法規モニタリング:表示規制、関税、商標、電子決済対応の相談窓口
成功のKPIと“次の一手”
- KPI(予約販売期):期間内売上、支援者数、CVR、平均注文単価、リピート意向
- 次の一手(量販展開):予約販売データを根拠に、百貨・量販・専門店と卸交渉/常設EC開設/県合同ポップアップ実施
よくある懸念と回答
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Q. クラファンは“投げ銭”の印象が…
A. 台湾のMyfeel等では**「予約販売(先行購入)」がユーザー常識**です。決済確定→確定数量のみ生産なので、事業者の資金負担と在庫リスクを最小化できます。 -
Q. 海外配送や通関は難しくない?
A. 一括出荷により通関・梱包・配送の標準化が可能。まずは一品目・一ロットから始めるのが定石です。 -
Q. 県として何から着手?
A. まずは県内3社程度の“向き・不向き診断”→広報・制作・広告の補助設計→60日キャンペーンを年度内に1回。成果をもとに翌年度に拡大。
行動計画(テンプレ)
- 10月上旬 案件選定/撮影・翻訳・LP制作
- 10月下旬〜11月末 **予約販売(決済確定)**運用
- 12月 一括生産・一括出荷/実績レポート→量販商談
まずはMyfeel『未来印』の進捗をご確認ください。このアプローチなら、在庫リスクゼロで越境の第一歩を踏み出せます。

