台湾で急成長するThreads――日本企業が知っておきたい「広告より会話」が強いSNSマーケティング

台湾でビジネスを展開する企業にとって、Instagram、Facebook、LINEはこれまで主要なSNSマーケティングチャネルでした。

しかし近年、特に若い世代への情報発信で存在感を強めているのが、Metaが運営するテキスト型SNS「Threads(スレッズ)」です。

台湾ではThreadsを「脆(ツイ)」と呼ぶことも多く、商品の感想、飲食店の口コミ、日常の出来事、社会的な話題など、さまざまな情報が活発に投稿されています。

台湾市場を狙う日本企業にとっても、Threadsは無視できないマーケティングチャネルになりつつあります。

台湾は世界有数の「Threads大国」

Threadsは、Instagramチームによって開発され、2023年7月に提供が開始された、テキストによる投稿と公開会話を中心とするSNSです。Instagramのアカウントとの連携が容易で、すでにInstagramを利用しているユーザーが比較的参加しやすい設計になっています。

2024年に台湾メディア「食力foodNEXT」が掲載した記事では、Similarwebなどのデータをもとに、台湾からのThreadsへのアクセスが世界でも上位に位置し、平均利用時間についても非常に長いと紹介されました。

特に利用の中心となっているのが、10代後半から20代を中心とするZ世代です。台湾のThreadsでは、完成度の高い広告コンテンツよりも、日常的な出来事や率直な感想、思わず反応したくなる話題が支持されやすいとされています。

その後もThreadsの利用者数は世界的に拡大しており、Metaは2026年6月、月間アクティブアカウント数が5億を突破したと発表しました。台湾、日本、韓国を含むアジア地域でも、コミュニティ機能などの拡充が進められています。

つまりThreadsは、すでに一時的な新興SNSではなく、企業が継続的に運用を検討すべき主要プラットフォームの一つになったといえます。

なぜ台湾でThreadsが支持されているのか

台湾でThreadsが急速に普及した背景には、いくつかの特徴があります。

1.文章だけでも投稿しやすい

Instagramでは、写真や動画の品質が投稿の印象を大きく左右します。一方、Threadsでは、文章を中心に気軽に情報を発信できます。

大がかりな撮影やデザイン制作がなくても投稿できるため、企業側にとっても運用のハードルが比較的低いSNSです。

商品開発の裏話、台湾進出時の出来事、店舗スタッフの日常、顧客から寄せられた質問など、企業が普段持っている情報をコンテンツに転換できます。

2.企業と消費者の距離が近い

Threadsでは、企業が正式な広告文を一方的に発信するよりも、一般ユーザーと同じ目線で会話に参加することが重視されます。

投稿への返信や引用、他社アカウントとの交流を通じて、ブランドの担当者やスタッフの人柄を伝えやすい点が特徴です。

特に台湾の消費者は、企業名や商品の機能だけでなく、「誰が販売しているのか」「台湾を理解している企業なのか」といった点も見ています。

企業の中の人が見えるThreadsは、台湾市場で信頼を形成する手段として活用できます。

3.フォロワーが少なくても拡散される可能性がある

Threadsでは、フォローしているアカウントの投稿だけでなく、ユーザーの興味や反応に合わせた投稿が表示されます。

そのため、アカウント開設直後でフォロワーが少ない企業であっても、内容に共感が集まれば、多くのユーザーへ届く可能性があります。

台湾進出前のテストマーケティングや、認知度の低い商品の反応調査にも適した環境です。

台湾向けThreadsマーケティングで重要な3つのポイント

「宣伝」ではなく「会話」をつくる

Threadsで商品のメリットだけを並べても、ユーザーから反応を得るのは簡単ではありません。

例えば食品ブランドであれば、単に「日本から新商品が入荷しました」と投稿するよりも、次のような問いかけを加える方法が効果的です。

「台湾のコンビニで販売するなら、どの味が人気になりそうですか?」

「日本では朝に食べる商品ですが、台湾ではいつ食べたいですか?」

ユーザーが自分の意見を書きたくなるテーマを設定することで、コメントや引用投稿を増やし、自然な認知拡大につなげられます。

台湾の繁体字と現地表現を使う

日本語をそのまま翻訳した文章は、意味が伝わっても、台湾のユーザーにとって不自然に感じられることがあります。

台湾向けの投稿では、繁体字を使用するだけでなく、台湾で日常的に使われる言葉や表現に調整することが重要です。

また、日本の企業文化や商品の背景を説明する場合も、台湾の消費者が理解しやすい情報量と順序に組み替える必要があります。

コメントへの対応を運用業務に含める

Threadsは、投稿した時点で業務が完了するSNSではありません。

ユーザーから寄せられたコメントに返信し、質問や意見に反応することで、投稿が継続的な会話へと発展します。

返信の速さだけでなく、親しみやすさや柔軟な対応もブランドイメージに影響します。台湾向けのSNS運用では、投稿作成とコメント対応を一体の業務として設計することが必要です。

2024年当時と現在では、Threadsの環境も変化している

食力foodNEXTの記事が公開された2024年当時、Threadsは基本的に自然投稿を中心としたプラットフォームであり、広告機能がないことも利用者から支持される理由の一つとされていました。

しかし、その後MetaはThreads広告の提供を段階的に開始しています。2025年には対象となる広告主へ提供範囲が広げられ、2026年には広告表示のグローバル展開も進められました。

また、ダイレクトメッセージ、トピック、カスタムフィード、コミュニティなどの機能も追加されています。

したがって今後は、自然投稿によるコミュニティ形成と広告配信を組み合わせた運用が増えていくと考えられます。

ただし、広告機能が拡充されたとしても、Threadsの中心がユーザー同士の会話であることに変わりはありません。広告を出稿する場合も、普段の投稿を通じてブランドの考え方や人柄を伝えておくことが重要です。

Threadsは台湾市場を理解するための「調査ツール」にもなる

Threadsの価値は、商品を宣伝できることだけではありません。

台湾の消費者が何に関心を持ち、どのような表現に反応し、商品やサービスについて何を不満に感じているかを把握できる点にもあります。

例えば、台湾への商品輸出や店舗出店を計画している日本企業であれば、次のような情報を収集できます。

・台湾の若者の間で話題になっている商品やサービス
・日本ブランドに対する率直な評価
・競合商品への不満や改善要望
・価格、パッケージ、味、サービスに対する反応
・日本と台湾の文化や商習慣の違い

Threads上での会話を継続的に観察することで、アンケート調査だけでは把握しにくい、消費者の生の声を確認できます。

まとめ

台湾は、世界的に見てもThreadsの利用が非常に活発な市場です。

特に若い世代への認知拡大や、新商品の反応調査、ブランドのファン形成を目的とする企業にとって、Threadsは有効なチャネルになり得ます。

一方で、企業の広告文を繁体字に翻訳して投稿するだけでは、十分な成果は期待できません。

台湾のユーザーが反応したくなるテーマを設定し、現地の言葉で発信し、コメントを通じて対話を続けることが重要です。

Shipeeeでは、台湾市場への進出を検討する日本企業に対し、市場調査、繁体字コンテンツの制作、SNS運用、インフルエンサー施策、販売促進、現地営業まで、台湾での事業展開を一貫してサポートしています。

台湾向けの情報発信やThreadsの活用をご検討の企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。


参考・出典

・食力foodNEXT「台灣Threads用戶高達全球第二、使用時間居全球之冠!為何Z世代都轉移陣地改用『脆』?」2024年10月16日
・Meta「Introducing Threads: A New Way to Share With Text」2023年7月5日
・Meta「Threadsの月間アクティブアカウント数が5億を突破、日本でもコミュニティ機能を導入」2026年6月17日
・Meta「Introducing Messaging and Highlighted Perspectives on Threads」2025年7月1日

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